促成トマト栽培におけるボルナドファンの効果

                                 広島県立農業技術センター環境制御研究部

【 研究目的 】
 半促成トマト栽培では、春先の暖房機が切れる頃に灰色カビ病、葉カビ病が急増することが、倉敷町の調査でわかりました。そこで、現在倉橋町トマト農家でも利用され始めている、施設内送風がトマトの生育や病害虫の発生にどのような影響を及ぼすのかを、広島県立農業技術センター、倉敷町現地施設において行なってきました。

 

【 表1 】 ボルナドファンによる半促成トマト栽培施設内の微気象と病害の発生(4月下旬〜5月下旬) (県立農業技術センター鉄骨ハウス 2002)

ボルナドファン使用区 対照区
風速(m/sec.) 0.70±0.07 0
草冠上層部湿度99%以上時間(h/day) 7.8 11.1
平均湿度(%) 84.8 87.1
平均気温(℃) 19.8 20.4
早期果実表面結露量(mg/cu) 0.80±0.32 2.54±0.86
灰色かび病発生側枝率(%) 0.6a 11.3b
葉かび病発生側枝率(%) 3.5a 14.1b

 

【 表2 】 ボルナドファンによる半促成栽培施設内の微気象と病害の発生(1月)              (県立農業技術センター鉄骨ハウス 2002)

  ボルナドファン使用区 対照区
風速(m/sec.) 0.89±0.07 0
草冠上層部湿度99%以上時間(h/day) 2.6 1.6
草冠下層部湿度99%以上時間(h/day) 1.7 1.7
草冠上層部平均湿度(%) 87.8 84.7
草冠下層部平均湿度(%) 87.7 88.3
上下層間湿度格差(%) 0.1 3.6
草冠上層部平均温度(℃) 16.3 17.3
草冠下層部平均温度(℃) 15.5 14.5
上下層間温度格差(℃) 0.8 2.8
灯油消費量(g/day) 16.7 19.0

 

【 表3 】 倉橋町大型鉄骨ハウス促成栽培トマトにおけるボルナドファンの灰色カビ病、発生に及ぼす影響(2002)                                  

  発病側枝率(%)
  4月23日 5月1日
ボルナドファン区 2.0a 4.1a
慣行区 15.9b 22.3a
  発病果率(%)
  4月23日 5月1日
ボルナドファン区 0.7 0.5
慣行区 0.7 1.9

※注 ボルナドファンは25m間隔に設置

 

【 研究目的 】
 以上の結果より、半促成トマトにおける送風は、以下の結果をもたらすことがわかりました。

 1)  ボルナドファンの送風によりトマト草冠上下層部間の温度格差がなくなり、下層部の温度上昇    により、初期収穫が早まり、燃料消費量が節約される(表2)

 2)  ボルナドファンの送風による施設内湿度の低下は少ないが、結露の除去作用によって、灰色    かび病の発生を抑える効果が認められた。しかし、判然とした効果を表すためには風速0.7m    程度の風が必要であることが分かった(表1)。

 3)  以上から、大型の鉄骨ハウスにおいて送風の効果を発揮させるためには、ある程度の風(線    香の煙が、真横に流れる程度)が確保できるように(最低でも15m間隔程度)に設置する必要    があると推察される。

県立農業技術センターの小型鉄骨ハウスでは、送風の効果が認められましたが、今後は倉橋町の大型鉄骨ハウスにおいても、同様の効果が認められるかを検証していく必要があります。      微風を送ることにより、温室コナジラミの被害が減少。


  ボルナドファンの省エネ効果

 上記データ 表2 より、以下のような省エネ効果が算出できました。(広島県の1月、1a/1台)

 灯油消費量(g/日)より 19.0 g/日 − 16.7 g/日 = 2.3 g/日 の差がみられた。

  1ヶ月当たりの節約金額に換算→  2.3 g/日×30日× 80円(2006年4月) = 5,520円/月

 ボルナドファンの電気代を控除しても→ 5,520円/月−405円(ボルナドの1ヶ月電気代)

  5,115円/月 (200V/50Hzにて) の燃料経費節約が可能

 

以下周波数別、電力別に算出(いずれもボルナドファンの電気代は控除済み)。

50Hz 100V 4,806円/月 の節約
200V 5,115円/月 の節約
60Hz 100V 4,716円/月 の節約
200V 5,076円/月 の節約